2023年秋冬から、突如として最注目のビッグトレンドに躍り出た、クワイエット・ラグジュアリー(静かなラグジュアリー)。
海外セレブが火付け役となった、派手さを求めず、上質で心地よい「本物」を選ぶライフスタイルは、今、日本でも一大トレンドとなりつつあります。
この記事では、クワイエットラグジュアリーの魅力とデイリーシーンへの取り入れ方をご提案。
基礎知識として、トレンドを牽引する世界的なラグジュアリーブランドにも触れつつ、王室・皇室御用達など、現実的に取り入れるアイデアとしておすすめできるブランドについても紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事が、自分のためにちょっぴり贅沢な時間を取り入れるきっかけになれば嬉しいです。
クワイエットラグジュアリーとは?
クワイエットラグジュアリー(Quiet Luxury)とは、静かなラグジュアリー、さりげない贅沢、とも表現されるファッショントレンド。
その言葉通り、静かで控えめで、一見高級品であるとはわからないけれど、実は非常に高価で上質なアイテムを組み合わせたスタイリングが特徴です。
ベーシックであるからこそ、身に着ける人の個性をより際立たせるような、タイムレスなアイテムが好まれます。
具体的には、以下のような視点が参考になるでしょう。
- シンプルで洗練されたデザイン
派手な装飾を避け、シンプルながらも上質な素材とデザインを用いることで、品格のある雰囲気を演出します。 - 質の高い素材へのこだわり
カシミヤ、シルク、上質な綿などの高級素材を使用し、着心地と外観の両方を重視します。 - ニュートラルカラーの活用
ベージュ、グレー、ネイビー、ホワイト、ブラックなどの落ち着いた色合いを中心に使い、色使いも控えめに仕上げます。 - ブランドロゴの最小化
ブランドロゴを目立たせず、服自体の質の高さを重視します。ロゴよりも、デザインと素材でブランドの価値を伝えます。 - 長く愛用できる定番アイテム
トレンドに左右されない、長く着用できる定番アイテムを重視します。これにより、持続可能なファッションを推奨しています。
オールドマネー階級の影響
このようなクワイエットラグジュアリーの哲学は、オールドマネー階級のライフスタイルから大きな影響を受けています。
オールドマネーとは、何世代にもわたって財産を継承してきた家系や個人のこと。
彼らは、ビジネスの成功などで一代にして富を築いた人々(ニューマネー)とは対照的に、富を誇示することを避け、派手な消費を避ける傾向があります。
金銭的な富を前面に押し出すよりも、良き教養と品格のある振る舞いを身に付けることに重きを置くため、控えめで洗練された生活スタイルであることが多いです。
クワイエットラグジュアリーとは、品質と手仕事に重点を置き、見せびらかすことなく本質的な価値を重視する、オールドマネーの美意識や価値観を反映したファッションスタイルなのです。
「コード化されたラグジュアリー」とは?
オールドマネー階級のライフスタイルやファッションスタイルは、「見えざる豊かさ」や「隠れた富」を意味するステルス・ウェルス(Stealth Wealth)という概念で説明されることがあります。
明白なロゴやブランド名の表示を避け、特定のデザインの細部、高品質な素材、独特の製造技術などによって、そのアイテムの価値を内輪でのみ認識可能にすることで、所有者の豊かさやステータスを直接的ではなく、より洗練された方法で表現します。
知識ある一部の人々だけが理解できる細やかなサインやシンボルを通じて、品質やステータスを示す。
わかる人にはわかる、というこのようなアプローチを、コード化されたラグジュアリーと表現することもあります。
ノームコアとの違い
クワイエットラグジュアリーの特徴を見てくると、ノームコアとの違いが気になる、という方もいらっしゃるかもしれません。
クワイエットラグジュアリーとノームコアは、どちらもシンプルで質の高いファッションを追求する点で共通していますが、いくつかの違いがあります。
ノームコア(Normcore)は、「ノーマル(normal)」と「ハードコア(hardcore)」の合成語。
特徴的なスタイルや個性的なデザインを避け、普遍的で平凡な(”ノーマル”な)衣類を選ぶスタイルです。
無地でベーシックなカラー、時代やトレンドに左右されない普遍的なデザインのアイテムを組み合わせたスタイリングで、機能性と着心地の良さを重視します。
クワイエットラグジュアリーと同じく、装飾を極力排除したスタイルのノームコアですが、高級素材やブランドへのこだわりはなく、むしろ、一般的な無地アイテムを着こなすことで、実用性とミニマルさを追求するスタイルです。
一方、クワイエットラグジュアリーは上質な素材とデザインから生まれる”控えめな高級感”が特徴となります。
ノームコアと比べてみると、クワイエットラグジュアリーは、その人らしい美意識や価値観をしっかりと反映したスタイルであると言えます。
クワイエットラグジュアリーを取り入れる方法
クワイエットラグジュアリーは、決して高価なブランドアイテムだけで実現するものではありません。
むしろ、その本質は、シンプルで上質なものを選ぶ眼力と、自分らしい着こなしを楽しむ姿勢にあると言えます。
普段の生活の中で、クワイエットラグジュアリーを取り入れるためのヒントをいくつかご紹介しましょう。
まずは、自分に合った良質なベーシックアイテムを揃えること。
値段だけでなく、素材や縫製、デザインのバランスが取れたものを選び、少しずつでも、長く愛用できるアイテムを増やしていきましょう。
また、ノームコアの考え方を参考に、シンプルで飽きのこないデザインを選ぶのも良いでしょう。
トレンドに流されず、自分の個性を引き立てるアイテムを大切にすることが、クワイエットラグジュアリーの精神に通じます。
さらに、服だけでなく、自分なりのこだわりを持つことも大切です。
例えば、お気に入りの香水をつけたり、上質な素材のストールを身に付けたり。
ちょっとしたアクセントが、装いをグレードアップしてくれるはずです。
何より大切なのは、自分らしさを大切にすること。
ブランドや価格にとらわれず、自分が心地よいと感じるスタイルを追求してみてください。
内面から醸し出される自信と満足感が、あなたをクワイエットラグジュアリーな存在に導いてくれるでしょう。
以下で、アイテムを選ぶ際のポイントを具体的におまとめしたので、こちらも参考にしてみてください。
素材とデザインの選び方
クワイエットラグジュアリーを取り入れる上で最も重要なのは、高品質な素材とシンプルながらも洗練されたデザインを選ぶことです。
カシミア、シルク、オーガニックコットンなどの上質な天然素材を使用し、縫製や仕上げに細心の注意を払ったアイテムを選択するのがポイントです。
カラーリング
控えめで洗練されたカラーパレットを選ぶことがクワイエットラグジュアリーのキーです。
ヌードカラー、グレー、白、黒などのモノトーンや、深みのあるアースカラーが好ましいです。
これらの色は、タイムレスでどんなシーンにも合わせやすいという利点があります。
小物の役割
アクセサリーや小物は、クワイエットラグジュアリースタイルにおいて重要な役割を果たします。
選ぶべきは、控えめながらも品質が高く、デザインに独創性があるアイテムです。
例えば、上質な本革バッグやシンプルなデザインの時計、ひと粒ダイヤのネックレスなどは、全体のスタイルをぐっと印象深く格上げするのに役立ちます。
トーン・オン・トーンスタイリング
同じ色味の異なる濃淡を組み合わせることで、洗練された印象を作り出すことができるトーン・オン・トーンのスタイリングは、クワイエットラグジュアリーのエッセンスを表現するのに適しています。
このアプローチは、シンプルながらも奥行きのあるスタイルを実現します。
クワイエットラグジュアリーを体現するブランド3選
続いて、クワイエットラグジュアリーというファッショントレンドにおいて、代表的と言われているラグジュアリーブランドをご紹介します。
価格帯やデザインの雰囲気など、「ブランドのロゴがなかったとしてもラグジュアリーであると伝わるアイテム」を具体的にイメージしてみる際の参考にしてみていただければと思います。
必ず押さえておきたいクワイエットラグジュアリーの代名詞的ブランドと言えば
The Row ザ・ロウ
引用元:The Row公式サイトより
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引用元:The Row公式サイトより
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バッグの価格帯:129,000~1,080,000
シンプルでありながら洗練されたデザイン、完璧なフィット感、そして上質な素材を使用することで知られるザ・ロウ。
女優のオルセン姉妹によって2006年に設立され、一気に憧れのハイブランドとして評価されることとなりました。
ブランドのロゴやブランド名の刻印は全く無いか非常に控えめで、良いものは目印がなくてもわかる、という考え方を体現しています。
クワイエットラグジュアリーの代名詞的存在として真っ先に名前が挙がるブランドです。
上質な素材
Loro Piana ロロ・ピアーナ
引用元:Loro Piana公式サイトより
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引用元:Loro Piana公式サイトより
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最高品質のカシミア、ヴィキューナ、ベビーキャメルなどの希少な天然繊維を使用することで知られるロロ・ピアーナ。
質感の素晴らしさで高級感を表現できるだけでなく、なによりその着心地の素晴らしさで永く愛されています。
一生もののセーターやコートをお探しなら、まずチェックしたいブランドです。
職人技が光るイントレチャートがお家芸
BOTTEGA VENETA ボッテガ・ヴェネタ
引用元:BOTTEGA VENETA公式サイトより
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引用元:BOTTEGA VENETA公式サイトより
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バッグの価格帯:154,000~5,610,000
「ヴェネチアの工房」という意味を持つイタリア発祥のブランド、ボッテガ・ヴェネタ。
単純なように見えて、実は非常に高度な職人技が求められるイントレチャートを象徴としているところに、革の国イタリアの老舗であり、技術と革の質に定評のあるブランドの顔が垣間見えます。
意匠とカラーで、ロゴがなくても見る人が見ればわかる、そんな力強いデザインで人気を博すメゾンです。
デイリーに取り入れたい。上質さが魅力の日本製本革バッグブランド3選
続いて、デイリーシーンにクワイエットラグジュアリーの考え方を取り入れたい時、ぜひ参考にしていただきたいブランドをピックアップしてご紹介します。
最高級メンズ革製品のGANZOを手掛けるAJIOKA.の新ブランド
epoi エポイ
出典:epoi公式サイト
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出典:epoi公式サイト
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バッグの価格帯:¥33,000~¥143,000
2004年にスタートしたエポイは、最高級の革小物を手掛ける日本の老舗AJIOKA.が手掛けるレザーブランド。
ミニマルでシルエットの美しいデザインに加えて、個性豊かできれいな色あいが目を惹くアイテムを多く発表しています。
他と被らない個性と控えめな奥ゆかしさを両立した上質な革小物をお探しの際に、ぜひご覧になってみてほしいブランドです。
140余年に渡りバッグを作り続けてきた、皇室御用達も賜る老舗
傳濱野はんどばっぐ
出典:傳濱野はんどばっぐ公式サイト
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出典:傳濱野はんどばっぐ公式サイト
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バッグの価格帯:¥22,000~¥209,000
ブランド「傳濱野はんどばっぐ」を手掛ける濱野家は、1880年の創業より140年以上にわたってバッグを作り続けてきた日本の老舗。
ポロを通じての出会いから続けて3代、現在も皇室のみなさまよりバッグのご用命も頂いている皇室御用達ブランドであり、その品質の素晴らしさは折り紙付きです。
きれいで女性らしい柔らかな色合いの本革製アイテムには、ロゴや刻印の主張がほぼありません。
クワイエットラグジュアリーのコンセプトを体現する日本の老舗を、ご覧になってみてください。
国賓バッグも手掛ける老舗バッグメーカーの自社ブランド
NAGATANI ナガタニ
引用元:NAGATANI公式サイト
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引用元:NAGATANI公式サイト
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バッグの価格帯:20,000~250,000
1968年創業のハンドバッグメーカー、ナガタニ。
皇室のみなさまや国賓の方へ贈呈されるバッグも手掛けてきた、知る人ぞ知る最高峰バッグの造り手です。
NAGATANIとは、そんな老舗のバッグメーカーが2007年にスタートした自社ブランド。
タイムレスな型のバッグをひとつひとつ日本の職人の手仕事で仕立てています。
特筆すべきは、1849年創業の老舗・カールフロイデンベルグを前身とする名門であり、世界のビッグメゾンも採用していることで知られるワインハイマー社のシュリンクレザーを採用している点。
最高級レザーでお仕立てのバッグをお探しなら、ぜひ知っておきたい老舗です。
自分にとって本当に大切なものを見極めて
高価なブランドアイテムだからいい、のではなく、自分がいいと思えるもの、永く愛せる上質なものを少しずつ取り入れていくことを大事にできる、そして、その選択を贅沢と思える。
クワイエットラグジュアリーというトレンド、その本質は、そういう価値観への憧れ、ではないでしょうか。
この記事が、クワイエットラグジュアリーへの理解を深めるきっかけとなり、ひいてはみなさんの暮らしを豊かにするヒントになっていれば嬉しいです。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました。